◆情熱のベタ・前編
ベタ、ご存知でしょうか?
デパートとかホームセンターで小さなビンに入って売られている、ヒレがひらひら〜なお魚です。
普通のお魚のように、特別にエアレーションが必要でないため、家庭でコップに入れて飼っている人も多いようです。
某ホームセンターでは、雪がちらつく2月に、ビン積み上げて売ってました。
・・・あのね、熱帯魚なの。ヒーター入れるか、暖房効かして下さい(泣)
でも、夏なんか確かにコップに入ってるアレは涼しげでいい感じです。
が、そうして売られているひらひらのベタ、実はオスばかりってコトご存知ですか?
ベタは闘魚とも言われる、気の荒い魚です。オス同士を一緒にすると、決着がつくまで激しい戦いを繰り広げます。
個飼いにするのはそのせいもあります。
現地では、闘犬や闘鶏と同様、今でも賭け事に使われています。
そもそも、もともとのベタはあんなにひらひら〜な長いヒレは持っていません。
原種のベタは青と赤が入り混じった、ヒレの短いちょっぴり地味かもしれない魚です。
(私は十分派手だと思いますが)
が、闘魚のために、強い魚を作りだすために強い魚同士の交配を重ねた結果、副産物として、あのヒレの長いひらひらのビビッドカラーなお魚が生まれたそうです。
と、いうわけで、優雅に見えるアレ、闘魚の中でも特に気が荒い個体が多いようです。
他の種類の魚に対してはそれ程でもありませんが、同種に対する攻撃性はかなり大。
以前、元気な若いオスを初めて飼った時、彼は水槽の外側に張られたシール付近に向かってあの大きなヒレを広げ、エラブタを広げて威嚇を繰り返していました。
何もないのに何で? と、裏を覗き込んでみると、商品名が入ったシールの裏側はなんと銀色。
丁度鏡みたいなアルミシールの裏側の、そこにうつった自分の姿に向かって喧嘩を売っているのでした・・・。
激しい〜(汗)
実は、そんな激しいオスにも勝る性格のメスがうちには居ました。
ベタのメスは、オスより小型でヒレも長くはありません。
複数尾を一つの水槽の中で飼うことができるくらいの、性格の穏やかさもあります。
(多少は喧嘩しますけど)
さらに付け加えると、ショップに入荷したばかりのメスは、未成熟のコも多数。
たとえて言うなら、入荷するオスは若くても高校か大学生(下手するとおやじ)なのに、メスは小・中学生なのです。
なので、私は、メスに栄養のあるちょっぴり高価な餌を食べさせつつ、グラマーになるまで1ヶ月程お見合いを待ちました。
その間、ベタに関しての本を読んだり、先輩や陽水苑のおじちゃんにも、いろいろ教えて頂いたりしました。
例えば、ベタの産卵は、オスが水面に泡巣を作り、メスに求愛することからはじまる事。
求愛ダンスは、威嚇と見分けがつきにくい事。
大抵はオスの方が強く、一件メスが突き殺されそうになりながらも産卵する場合がある事。
オスがメスを抱き(本当よ〜)、メスの体を絞るような行動をとることでやっと5〜6粒産卵する事。
その後数秒、メスは気絶してしまい(本当だってば)、産まれた卵はオスが口で広い上げて泡巣に持っていく事。
おおよそ1時間にもわたって100粒を超える産卵が終わると、オスはメスを追い払い(食卵してしまいます)、オスが孵化後まで卵や稚魚の世話をすること。
・・・なんと、不思議で情熱的な魚ではないですか。
お見合いの日に対する私の期待は、いやがおうでも高まりました。
待ちに待ったお見合いの日、まず透明な仕切り越しに2尾をご対面させてみました。
オスは、メスに向かってヒレとエラブタを広げながら、さかんに自ら水面に作った泡巣を補修しています。
メスもそれに答えるように、ヒレとエラブタを広げています。
「よっしゃ!行ける!!」
そう思った私は、2尾の間を仕切っていた透明なプラ板を外してみました。
2尾はゆっくりとヒレを広げながら近づきます。
・・・そして。
いきなりメスがオスに噛み付きました!!
その後は一方的にメスがオスを追いまわし、決して追撃の手を緩めません。
・・・メスの方が強いじゃん・・・。
1時間後、ボロボロになっていくオスのあまりに息も絶え絶えな様子に、私はドクターストップを入れました。
その後、この若いオスは療養して元気になり、新たに購入したちょっぴりおとなしいメスとの間に卵をもうけることができ、私も念願のベタの産卵を見ることができました。(私としても熱帯魚のブリーディングは初めてのことで、稚魚は10尾くらいしか育てられなかったのですけど)
折りしも私の周りには、いつの間にか、一緒にベタのブリーディングに挑戦する仲間が集まっていました。
私が飼育にはまってしまったのは、この時集団でわくわくしたことも影響しているのかもしれません。
・・・後半へ続く。
2001年 おさんぽ
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