◆趣味での小卵型ヌマエビ類の幼生飼育成功例
これまでは研究室内の話でしたが、実験室内での方法を参考に、個人的に家庭でヤマトヌマエビを稚エビまで育てた方が何人かいらっしゃるので、その方法をご紹介します。家庭でやるなら、もちろん、毎日の観察等は必要ありません。いろいろ工夫されてみて下さい。
また、家庭でのヤマトヌマエビのゾエア飼育について、良いサイトもあります。→stayさんの「BREEDING LIFE」
下に、紹介した例は、実験室内の飼育結果をまとめた近年の論文と研究室内の経験則を参考に、研究者以外の方が飼育された例です。
(Caridinaさん、情報提供ありがとうございました。)
■参考になりそうな経験則等
- ●親メスを隔離するタイミング
- 一番簡単なのは、メス親が抱卵したら、元の飼育水毎隔離しておくこと。または、不安であれば、卵が発眼してから隔離する。親メスの腹肢からは、卵の孵化をいっせいに同期させるためのフェロモンが出ているらしいという説があります。管理人が関わった研究室は、ヤマトヌマエビを初め、小卵型ヌマエビ類のゾエア飼育実験を数年に渡って行なっていましたが、経験的に元気の無いメス親からのゾエアは、やはり元気がありません。元気な卵(ゾエア)は、元気な親から。気合があれば、放出直後の元気なゾエアをピペットで広い集めるのも手です。(膨大な数なので、オススメできませんが・・・)
- ●塩分濃度
- ヤマトヌマエビのゾエア幼生は、70%海水の塩分濃度が最適です。 面倒であれば、半海水(50%)でも、十分生残します。自然界では、おそらく川から海に降ったゾエア幼生は、比較的塩分の薄い沿岸付近に留まっているのではないかと思います(注)。ゾエアが放出されたら2〜3日以内に塩水にしましょう。
(注:遊泳力が弱いゾエア幼生は、波任せに外海に流れていきそうな印象があるかもしれませんが、甲殻類の中には、明るさで深度を変える等の昼夜の垂直移動で、結果的に沿岸向き・外海向きの特定の潮の流れに乗る・乗らない等する種類があります。川や海の潮の流れや塩分濃度は、水面付近と水底付近で同じとは限りません)
- ●食性
- ヌマエビ類のゾエアは、テナガエビ類のゾエアの様に「餌を捕まえて食べる」ような肉食性寄りではなく、どちらかと言えば、口に入る大きさの餌なら何でも食べているようなかんじです。実験室内では、ワムシや酵母を餌にするよりも、テトラセルミス等の植物性プランクトンの方が稚エビまでの生残率が良いという結果でした。(ワムシはゾエア幼生のステージが進まないと、大きくて口に入りません。ブラインシュリンプのノープリウス幼生は大きさから見て更に無理です) また、ヤマトヌマエビのゾエアは、他の種類のゾエアに比べて、配合飼料をすりつぶしたものをよく食べてくれます。
余談ですが、植物プランクトンを餌にする場合、対数増殖期(どんどん増えているような状態の時)のプランクトンでないと、餌の効果がありません。餌になる植物プランクトンのメンテも忘れずに・・・
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■飼育成功の実例
- ●その1
- 汲んできた海水を60センチ水槽に入れて屋外でエアレーションし、緑になるまで待ったものを餌にして、約60尾を稚エビまで育て上げた。
実は、単に海水が緑になるまで待っても、餌料効果のある植物プランクトンであるとは限らないそうなのが厳しいんですが、家庭でも不可能じゃないってことですね。
・・・根性要りますけど(爆)
- ●その2
- その1の改良版です。別の方で、海水汲んできて水耕栽培用の肥料で海水青水を作って餌にして数十個体稚エビまで育てた方がいらっしゃいました。これでF2までいけたとか。同じ方法でミゾレヌマエビもいけたそうです。
- ●その3
- かなり家庭向け。テトラドロミンに水を加えて、練ってペースト状にしたものを餌に、稚エビまで30個体育てた成功例があるそうです。水が汚れそうですし、植物プランクトンに比べると若干成功率は落ちますが、一応成功は成功ということで・・・。 ちなみに、なんでテトラドロミンか、というと、水を加えた時に柔らかくなりやすく、ペーストを作りやすいんだそうです。 他にもぺーストを作りやすい餌なら、試してみていいと思います。(テトラドロミンは今販売してなかったか、名前変わってるかも)
(zoeaの写真をお送り下さったとんばさんも、幼生の稚エビまでの飼い上げに成功していますが、ご職業上、養殖用植物プランクトンが手に入る方なので、ここでは一般向きではないと判断させて頂きました。とんばさん、その節はありがとうございましたm(__)m)
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ちなみに、個人的に思う稚エビまでの飼い上げ飼育難度は、
ミゾレヌマエビ<ヤマトヌマエビ<トゲナシヌマエビ<ヒメヌマエビ
というかんじです。 最適塩分濃度は種によって違いますが、50%海水であれば、それ程問題はありません。
どうしても換水したい場合は、エアチューブの先にガーゼを取り付ける等でゾエアを吸い込まずに換水作業もできます。(ゴミは取れませんが(汗) 実際、あまりに忙しい時は、実験室内でもこれをやる時があります)
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2004年8月 2008年5月加筆修正 おさんぽ